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【ジョジョ】注文の多い承太郎

ジョジョ3部から承太郎×花京院。
でもポルナレフ視点。 アヴドゥルとジョセフも。
正直承花なのか自分でも良く分かってない、そんなギャグ。












【注文の多い承太郎】


エジプト・カイロを目指す道中、その宿泊先のホテルの一室にタロットカードを切る音が鳴っていた。
テーブルに裏返しで広げられたタロットをアヴドゥルが時計回りにシャッフルさせている。
その様子を対面側からポルナレフは眺めていた。
ジョセフと花京院が必要物資の買い出しに出ているので、暇つぶしにと『自身の恋愛運』について占ってもらう事になっているのだ。
ちなみに、承太郎は真横のソファーにデカい体躯をはみ出させつつ横になっている。
帽子で目元が見えないので確証はないが、煙草を吸っている以上寝ているという事はないだろう。

「占い方は簡単なワンオラクルでいいな?」
「ん? まぁ、タダで占ってもらってる訳だしな、何でもいいぜ」

そう返すと、アヴドゥルは散らばったカードを一つの山に戻し、それをまた三つに分けた。
そしてまたそれを一つの山に戻す。
もう二回それを繰り返した所で、アヴドゥルは表情を引き締めて一番上のカードを表に返した。

「魔術師の逆位置だな」

ポルナレフの位置からは怪しげに笑う人間の顔と『Magician』の文字がハッキリ見て取れた。

「わたしのスタンドと同じ暗示のカードだな」
「するとなにか? 燃え上がる様な愛が芽生えちまう感じか?」
「そういった解釈もアリだが、逆位置の場合は、」

アヴドゥルはそこで言葉を区切って、笑いを押し殺す様に喉を鳴らした。
その態度に「なんだよ」と不満を滲ませてみると、「悪い」と軽く謝ってから、

「『調子に乗り過ぎて失敗する』という感じだな」

そう暗示を告げた。
半笑いのまま告げられたあんまりな内容に、ポルナレフは思わず腰を浮かせて抗議し始める。

「いや、笑うなよ!!」
「すまない。 だが、あまりにも当たっているのでな、つい」
「つい、じゃあねぇよ!! それにまだ当たってねーだろうがよ!」

そう必死に言ってはみるも、彼の占い(というか予言)の正確性は身を以て体験しているので、我ながら無駄な足掻きに思えて仕方が無かった。
しかし、しかしだ、男としてこの結果には異を唱えるしか無い。
なんだ調子に乗るとは。 フェミニストでなにが悪いと言うのか。

「……ククッ」

ポルナレフの抗議の声とアヴドゥルの笑い声の中に、小さく低い笑い声が混ざる。
耳聡く聞きつけたポルナレフが視線をやった先に居たのは、口元を緩めて肩を揺らしている承太郎の姿であった。

「てめーまで笑うのかチクショウ!」
「あまりにも必死なもんだからな。 見苦しいぜ」
「承太郎の言う通りだな、受け入れろ」

そう二人に笑われた苛立ちを椅子にぶつけるように、ボスンと体重をかけてポルナレフは腰掛けた。
ミシリッと嫌な音が鳴った気がするがあえて無視を決め込む。

「わぁーった、分かりましたよォーッ!」
「そう不貞腐れるな。 先程はああ言ったが、タロットの見解は人それぞれだし、その状況にも左右される物だからな。 失敗した先に成功のチャンスがあるやもしれん」
「失敗は前提かよ……。 おい、承太郎、おまえも占ってもらったらどうだ?」

好奇心半分、道連れ半分で話を振ってみる。
まんざらでも無いのかアヴドゥルも「どうだ?」と魔術師のカードを山札に戻しながら問いかけていた。
それに対し承太郎は、のそのそと怠惰な動きで起き上がって短くなった煙草を灰皿に押し付けながら、

「いや、いい」

と簡素に断ってみせた。

「あんたには悪ぃが、おれは占いの類いをあまり信じちゃあいねぇんだ」
「フッ、だろうな」

気分を害する様子も無く、アヴドゥルはあっさり受け流してタロットカードを片付けた。
全くもって予想を裏切らない反応にポルナレフも笑うしか無い。
どちらかと言えば「運命なんざおれの手でぶち破ってやる」などと言い出しかねない男である事はこの旅の中で重々理解出来ていた。
正直な所『毎朝テレビの占いコーナーをチェックしてラッキーアイテムを装備する承太郎』なんてものは想像しがたい。

「でも『恋愛』には興味あるだろ? そーゆーオトシゴロなんだからよ」
「……女はウットーしくて好かねぇな」
「……モテる奴がそれを言うと、なんか、こう、腹立つな……」
「しかし、それでも理想はあるだろう?」

酷くもやもやした気持ちで顔を顰めるポルナレフの代わりにアブドゥルが話を繋げる。
こういう話に彼まで乗って来るのが少々意外だとも思ったが、彼と再合流した時の事を思い出してそうでもないと考え直した。
まだまだ知らない事が彼らにはある。
それを知る為にもこういう会話は必要なのだ。 そう! そうに違いないッ!

「ホラ、お兄さん達に言ってみろよ」

年上ぶってみると凄まじいジト目で睨まれた。
自分よりいくらか年下の学生であるはずのなのにこの威圧感はなんなのだろうか。
出来れば敵に回したくない。 いや、出会いは敵だったのだが。

「日本的な女……だな」

取り出した煙草に火を点けながらではあったが、承太郎は問いに対する答えを口にした。
これもまた意外な反応である。
少し前なら決して口にはしなかったであろう。
距離が縮まっているのだと自惚れても問題あるまい。
けれども。

「日本的……とは、具体的にはどういう事だ?」
「オレ達から見れば『日本人』なんだから皆『日本的』だと思うぜ」

フランス人であるポルナレフ及びにエジプト人であるアヴドゥルにその言葉の解釈は難しかった。
承太郎は煙草を銜えながら視線を天井に向けた。
当然そこに二人の求める答えが有るというわけではない。
しばらくの間静かな空間に煙草の煙だけが揺らめいていた。
数分経って、承太郎は大きく口から煙を吐き出す。

「まず、『ウットーしくない』」
「まぁ、そりゃあな」
「『気遣いが出来る』」
「ふむ。 なるほど」
「『品があって、凛としている』」
「あー分かるな」
「『知性と教養がありつつ、ユーモアもある』」
「……ん?」
「『一本芯が通っている』」
「お、おい」
「『前に出過ぎる事がない』」
「ま、待て、待ってくれ」

アヴドゥルの制止の声でようやく承太郎の『理想』の並べ立ては止まった。
止められたのを気にもせずまた煙草の煙を吸い込む目の前の男に、ポルナレフは両手でテーブルを叩きながら声を荒げた。

「条件多過ぎるぞてめー! 居るかそんな女!」
「わかんねーだろうが」
「確かに理想が高過ぎるとは思うが……我々にそれを咎める権利もないな」

アヴドゥルの言う事は正論だが、ポルナレフは目の前のこの男の将来が急激に心配になった。
この注文の多さはかなり面倒な事を引き起こすのではないかと。
運良く交際(もしくは結婚)したとしても、何か少しでも理想から外れたら冷めるタイプなのではないかと。
そんなポルナレフの心配をよそに、承太郎は再び口から煙を吐いた。
現実を諭すべきかと口を開きかけた、その瞬間。

「ただいま」
「だー! 室内と屋外じゃあ天と地じゃのう!」

買い出しに出ていた二人が無事帰還した。
汗だくのジョセフが右手で顔を仰ぎつつ、承太郎が座っているのとは反対側のソファーへどかりと腰を下ろした。
調達してきた物が入っているであろう袋がテーブルの上に置かれる。

「全く、暑くて適わん! どうなってるんだこの国は! どうにかせい!」
「無茶苦茶言ってんじゃねぇぞ、じじい」
「エジプトも近い、という事にしましょう、ジョースターさん」
「まぁ実際『地球温暖化』とか『エコロジー』だとか気にしないといけないらしいですけどね」

明らかにジョセフよりも着込んでいるはずなのに涼しい顔をして、物資を整理している花京院がそんな事をさらりと言った。

「温暖化ァ? エコロジーィ?」
「ふん、くだらねぇな」
「ハハッ、らしい回答だ。 ところでジョースターさん、アイスコーヒーでも入れましょうか?」
「おぉ、一杯頼む」
「花京院、おれにもくれ」
「はいはい」
「わたしにも頂けるかな?」
「えぇ。 ポルナレフは水道水で良いね」
「何でだよ! 百歩譲ったとしても色と味が付いた物をよこせよ!」
「アハハハッ」

ポルナレフの律儀なツッコミを笑い流しながら、花京院はホテルの冷蔵庫からアイスコーヒーのペットボトルを取り出した。
そしてお盆の上に五個並べたグラスに丁寧に注いで行く。
よくやるもんだ、とポルナレフは内心呟いた。

「ところで、さっきの言い方だとポルナレフに出て来るのはソースやケチャップでもいいわけじゃな」
「確かに『色』も『味』もついてますな」
「いやいやいや、まず飲み物じゃあねーよ!」
「はい、どうぞ」

そんなくだらない会話をしている内に花京院がお盆を持って来た。
丁寧に一人一人にグラスを手渡して行く。
ポルナレフの時だけなんとなく雑だったのは気のせい、ではないだろう。

「承太郎、はい」
「悪ぃな」
「承太郎とジョースターさんはブラックで構わないんでしたよね」

そう言われてポルナレフは気付く。
自分の所にはミルクとガムシロップ、そしてマドラーが置かれている事に。
アヴドゥルの所も同様である。
まさか一人一人の好みを把握しているのか、この男は。
本当よくやるぜ、とミルクとガムシロップを加えたコーヒーを混ぜ合わせながらポルナレフは感心した。
そして自分好みになったそれを口に含んだ所で、また気付く。

(居たァァァァァーーーーッ!!!!)

『ウットーしくなく』、『気遣いが出来て』、『知性と教養がありつつ、ユーモアもある』奴が、居た。
ここでコーヒーを噴き出さなかった自分をポルナレフは褒めてやりたくなった。
思い返せばその他の条件も当てはまらなくも無い。
『一本芯が通っている』のはこんな旅に同行している以上当然として、必要以上に『前に出過ぎる事がない』。
『品があって、凛としている』というのはちょっと分からないが、少なくとも下品ではないのだろう。

(いやもうマジでピッタリじゃあねぇか、性別以外)

そう、最も大事な点だけ当てはまっていなかった。
非常に、かなり、ディ・モールト残念な事に、花京院典明はどこからどうみても男性である。
おまえ産まれる性別間違ったんじゃあねーの、と思いながら承太郎の隣に腰掛ける花京院に視線を向ける。
先程の買い出しの際に見かけた珍しい光景を嬉々として語る花京院と、それに適度に相槌を入れる承太郎がそこには居た。
普通に考えれば仲の良い友人同士の光景でしかないのだが、たった今辿り着いてしまった思考回路が『普通』を排除してしまう。

(お似合いだよおめーら、性別以外)

似た様な事をまた内心呟く。
と、視界の端に入ったアヴドゥルが苦い物を胃に詰め込んだかのような表情をしながら、自分と同じ様に高校生二人組の姿を見ていた。
彼のコーヒーはミルクとガムシロップ入りだ。 そこまで苦いわけがない。
という事は、まさか。

(おめーも気付いちまったってわけね)

可哀想にな、おれもだけど。
そう思って哀れみの視線を向けていたら目が合った。
アヴドゥルもポルナレフが同じ事を考えていると気が付いたらしく、苦笑いを浮かべて来た。

「しかしおまえ達、随分と仲良くなったもんじゃな。 最初敵同士だったとは思えん」

ポルナレフとアヴドゥルの間の空気も、承太郎と花京院の間の空気も無視して、ジョセフが口を挟んだ。

「そりゃあそうだろ、あん時花京院は操られてたみてーなもんだったんだからな」
「……本当申し訳無い事をした」
「謝んな」
「そう、全てはDIOが悪いんじゃからな」
「でも、そのお陰で皆に出会えたんです。 だから、少し複雑ですかね」

そう困った様に言う花京院の気持ちはポルナレフにも分かる。
自分も操られた状態で一行と出会い、戦い、助けられ、同行した身なのだから。
何か言うべきかと言葉を探していると、その前に承太郎が口を開いた。

「別に、そのうちどこかで出会ってただろうぜ」

さらりと言ってのけた後にグラスの中に入っていた氷をガリガリと噛み砕いた。
なんだそれは。 イケメンかおまえは。
男に言う言葉なのかそれは。
ていうか、それはオレも含まれてるのか、どうなんだよオイ。
様々な感情が脳裏を駆け抜けフリーズしているポルナレフ(とアヴドゥル)の事など眼中にないかのように話は続いて行く。

「ありがとう承太郎。 そう言ってくれると嬉しいものだな」
「おれは思った事を言っただけだ」
「おまえも言う様になったのぉ承太郎! よっぽど花京院が気に入ったか!」
「え!?」
「はっ?」
「こいつがこんなに他人に入れ込むのは初めてかもしれん。 おまえが女じゃったら迷わず嫁に薦めてるんだがのう」

じじい、ちょっと黙れ。
うっかりそんな暴言が出そうになったが、残りのアイスコーヒーを喉に流す事でどうにか押さえつけた。
あと、なんで照れ気味なんだ花京院、だとか、やっぱりさっきの台詞にオレ含まれてねーじゃあねぇか、とか、そういった言葉も全て押し流した。
もう一度自分を褒めたくて仕方が無い。
ちらりとアヴドゥルを盗み見たら、ゴクゴクとコーヒーを飲み干していた。
考える事は同じ、らしい。

「何言い出してやがんだじじい。 暑さで頭やられたか」
「ははは……あれ、これアヴドゥルさんのでは?」

なんか気まずい空気を打開するように、花京院が身を屈めた。
足下から拾い上げたのはタロットカード。
先程ポルナレフを占う為に使った物である。

「……あ、あぁ、すまない。 先程片付けた時に落とした様だな」

微妙に動揺を隠しきれてないアヴドゥルは、無理矢理貼付けたような笑顔でそのカードを受け取った。
受け取った流れのままに、絵柄の面を見て一瞬顔をひきつらせる。
そして、その面をチラリとポルナレフの方へ見せた。
そこに描かれていたのは、

『Lovers』――恋人の暗示である。

(…………出来過ぎだろ)

アヴドゥルが顔をひきつらせたのにも納得が行く。
もうなんかどうでもよくなったポルナレフは、ジョースター爺孫が地味に言い争う音声をBGMに天井を見上げる。
そして、あのカードが落ちたのがおれの占いの前だったらさっきの結果無効にならねぇかなー、と願った。




*****

承花も好きだけどクルセイダーズも好き、という気持ちが形になった物。
1つの小説にこんなに人数が出続けてるだなんて……っ!(笑)
良い経験になったと思います。

3部アニメ5話の花京院が常に承太郎の3歩後ろにいたので「お前は嫁か」と思っていたら、承太郎の好みのタイプが「日本的な女性」だったので「嫁だった」となった話。
作中に出てくる好みのタイプ並べ立ては、実際に大和撫子を検索した際に出て来たワードなのですが、悉く花京院に当てはまっている気がしてならなかった。
……いや、まぁ、贔屓目でしょうけどね?
そしてその感想をポルナレフに代弁させるという悪行。(笑)
大人組の中にいる高校生2人がなんか萌えるのです。 そういう趣味もこめました。
妹に「お前アヴドゥルさん書くの上手いな」と褒められたのは誇って良い部分かもしれない。

中の人ネタとかパロディとかインスパイアとか色々ぶっ込んでます。
全部分かったら私と握手!(笑)
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