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【真ゲIF連載】世界の最後に君と/八章

『もしも竜馬が時空を飛び越えなかったら』という設定で書く空白の13年間(の一部)。
本編の自己解釈や妄想も多々含みますのでご注意下さい。
かーなーり久々の更新になってしまった事をお詫び申し上げます。(土下座)












【八章:共に歩み進む“これから”】


隼人にもついに『自室』という物が与えられた。
ここの組織の一員でもない身分にしては破格の待遇だが、その辺りはヤマザキがどうにかしたのだろう。
それに部屋と銘打たれてはいるが、正直倉庫に足の踏み場を作っただけに過ぎない。
それでも一人で行動出来る場所があるのはありがたい、と隼人は二つ返事でその部屋を受け入れた。
現在隼人は、不要品になっていたボロボロのソファーに腰を落ち着けて数十枚の書類の束に目を通していた。
敷島博士から手渡されたその書類のテーマは『真ドラゴンについて』。
真ドラゴンのスペックに関する予想。 建造した早乙女博士の目的。 そして、重陽子ミサイル爆破後の行方。
それらが事細かに記された文字列を、隼人の視線が追って行く。
と、乱暴に戸を叩く音が耳に届いた。

「隼人、居るんだろ」
「あぁ、入って良いぞ」

隼人がそう返す前に戸は開けられていたが、隼人は別段気にするでもなく受け入れる。
竜馬はツカツカと歩み寄って隼人の隣に腰を下ろした。
ギシギシとソファー内のバネが軋む。

「で、どうしたんだ」

手に持っていた書類を机に置き隼人は問う。
その書類はすぐさま竜馬の手に渡った。

「真ドラゴンの行方、分かったのか」
「いやまだだ。 そう簡単にはいかないようだな」
「まっ、そりゃそうか」

竜馬が乱雑に書類を放ると何枚か床に散らばった。
それに一瞬顔を顰める隼人だったが、拾うのはひとまず後回しにして竜馬の方をみやる。
雑談をしにきた顔つきには見えない。
まぁそれは今の会話からも感じとれる事ではあったが。

「言いたい事があるなら手短かに頼むぞ」
「やっぱ分かるか。 じゃあ、単刀直入に言うぜ……ゲッターはどうした」
「真ゲッターはあの日以来真ドラゴン共々行方不明。 武蔵が乗っていた物はミサイルの爆発によって全壊した」
「俺が訊きてぇのはそれじゃねぇ」

ズイッと竜馬の顔が至近距離に寄った。
キスを求めている、などという甘ったるい行為ではない事は確実。
相手に詰め寄る脅しの類いだった。

「あの日、テメェが乗ってたゲッターの行方だよ、隼人」
「…………何?」
「とぼけんな。 有るんだろ」
「有ったとしてどうする気だ」
「当たり前だ、ゲッターにはゲッターを、だ」

そう言って、隼人の眼前で竜馬はニヤリと笑う。
あまりにも見慣れたその笑みに、隼人もつられて呆れながら笑った。

「お前の言う通りだ、随分と昔に回収されている」
「やけにあっさり吐いたな」
「どうせ隠しきれるとは思っていなかったからな。時期が違うだけの話だ」

そう言いながら先程後回しにした書類を拾い集め、その内の数枚を竜馬へ手渡した。
『ゲッター線のソナー流用』という文字が印字されている。
小難しい単語がズラズラと並ぶ書類に目を通し続ける竜馬を見つつ、隼人は再び口を開く。

「要約すると、ゲッター線を使って真ドラゴンの行方を探ろうという試みだな。 まだ計画段階でしかないが、なんらかの形でゲッター線は使わざるをえないだろう」

とは言ってみるものの、その実現はかなり先の話になると隼人は感じていた。
今現在の世界の惨状は真ドラゴンによって起きたものであり、ゲッターロボやゲッター線、ひいては日本人に対する不満が積もりに積もっている。
数日前に隼人がぶん殴ったパイロット達の態度から見てもそれは明らかだ。
そんな状態でゲッター線の利用計画を出した所で反対される未来しか想像出来ない。
本当に必要ならば強行手段も辞さない覚悟ではあるが、今はまだその時でもない。

「つまり、お前の乗ってたゲッターはまだ使える状態なんだな?」
「あぁ、地中に潜らせていたからかダメージは多くない。 実際動かした訳では無いが、メンテナンスさえすればすぐ運用出来るだろうな」
「そうか、なら十分だ」

そう納得した様に呟いて、また竜馬は書類を机の上に投げた。
そして。

「これでインベーダー共と戦える」

ニヤリと楽しげに、嬉しげに笑いながらそう言った。
一瞬その笑顔に呆気にとられた隼人であったが、すぐに気を取り直して溜息を吐く。

「一人で、か?」
「テメェも居るだろ。 あと一人ぐらいならなんとか、」
「……俺は、もうゲッターには乗らん」

今度は竜馬が呆けた顔をする番だった。
隼人が発した言葉の意味が理解出来ていないのか、理解したからこそなのか。
掴み掛かられるのでは、と少し構えた隼人にしてみれば予想外の反応だった。

「……本気で言ってんのか」

吐き捨てるように竜馬が問う。
徐々に鋭くなる目付きと寄って行く眉間の皺。
隼人はその皺を伸ばす様に人差し指を竜馬の眉間に添えた。

「勘違いするなよ。 パイロットを辞めるだけでゲッター線には関わって行くつもりだ」
「はぁ?」
「俺は研究に専念する」

今まで隼人は早乙女博士の助手まがいの事はしてきていたし、それによりゲッター線に関する知識も深く理解している。
それでもその研究の全てを理解していた訳では無い。
否、博士ですら全てを理解していないのだろう。
だからこそ現状の悲劇が有る。
それを打破し、人類が進んで行く為に、隼人は知らなければならない。

「だから、お前と共に戦場へ出向く事は出来ない……すまん」
「ふぅん……そういう理由なら、まぁ許してやるよ」

そう上からな言葉を吐く竜馬の眉間に、もう皺はない。
代わりに口元を緩ませてニヤニヤしている。
コロコロ表情が変わる様を見るのは嫌いでは無い。
その様を近くで眺められている、という現実をより理解する事が出来るからだ。
竜馬の表情に目を奪われていると、先程自分がしたように眉間を小突かれた。

「お前と俺は根本の所で違うな」

だから面白ぇ、と竜馬は笑いながら舌なめずりをした。

「俺はインベーダー共を倒しながら真ドラゴンを探す。 お前はゲッター線の研究を進めて真ドラゴンを探す。 役割分担が出来て丁度良いじゃねぇか」
「他のパイロットはどうするつもりだ」
「一人乗りに改造する。 多少出力は落ちるかもしんねぇが、あんな化け物に遅れをとる竜馬様じゃねぇよ」

確かに、と隼人は納得する。
一人で操縦したゲッター1で性能が上回っているゲッタードラゴンらを蹴散らしていた姿を鮮明に思い出せたからだ。
彼なら一人でも十分やっていけるだろう。
そう、一人でも。

「……これから、どうする気だ?」
「あ? どうって?」
「ここに居るとゲッター使用許可が下りるまで時間がかかるからな。 勧めるのもなんだが、ゲッターを奪って出て行った方がお前には都合が良い」
「お前の都合は?」
「まぁ……良くはないな」
「なら、出ていく道理はねーな」

予想に反した答えに驚いていると、視界から竜馬の姿が消えた。
正確には、竜馬が隼人の膝を枕にするように寝転んできた為に視界から外れた。

「良いのか?」
「良いもなにも、守ってくれるお前から離れんのは俺としても得策じゃねぇ。 それに、」
「それに?」
「お前がまた死にたがっても困る」

ぐうの音も出ず、隼人は息を詰まらせた。
と同時に、一瞬でも『竜馬がここを出て行くのでは』と考えた自分の思考を恥じる。
彼の方が離れるという行為を忌々しく思っているという事に気が付いたからだ。
自分の意志とは関係無く、意味も状況も分からずに、3年も世間と切り離されたのだから。
唐突に隼人にくっ付いて来たのもそういう事なのだろう。
自分の所為だというのに都合が良いとは思うが。

「……離れてなんかやらねぇからな、隼人」
「俺ももう離さないさ、竜馬」

そう竜馬に、もしくは自分に言い聞かせるように口にする。
優しく髪を撫でてやると竜馬は穏やかに目を閉じた。


《続》

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