スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【無双】運命の青き矢

無双シリーズから吉継×高虎。
CP描写としては大谷さんの過剰なスキンシップくらい。
アニメ放送開始記念のつもりですが、内容は関ヶ原後なので完全にネタバレ。












【運命の青き矢】


「いつまでそうしている気だ、高虎」

耳に馴染む声をきっかけに高虎がぼんやりと瞼を開くと、枕元に立っているこれまた馴染み深い人物が覗きこんでいた。
まだ微睡みの中にいる高虎と目が合うとその人物は小さく微笑む。
出で立ちの所為で口元は見えないが、長い付き合いのおかげでそういった雰囲気は分かるようになってしまった。
軽く伸びをしてから眠気の残る体を起こすと見知った友人は大袈裟に頭を引き、

「危ないな」

とあまり感情の乗らない声色で批難してくる。

「……避けたのだから良いだろう」
「結果論だがな。 まあ特に気にしてもいないが」
「だろうな。 お前は相変わらずだ、吉継」

頭を掻きながら友人の名を呼びつつまるで幽霊の様な姿を見上げる。
先程よりは鮮明になった視界に映った吉継は目を細めてこちらを見つめ返してきた。
記憶の中と左程変わらない表情に高虎も珍しく頬を緩める。
しかし。

(記憶……?)

己の中に過ぎった感覚に疑問符が浮かぶ。
記憶で思い返さなければならない程、彼の姿を見ていなかっただろうか。
だが彼は普通に目の前に立っている。
以前『白幽霊』などとあだ名された、高虎も良く知る姿そのままで。

(ゆう、れい……)

ふと過る頭痛、そして映像。
白い召し物が赤く赤く染まり、その前に崩れ落ちる自分。
そうだ、彼は。
大谷吉継を『殺した』のはーー。

「高虎」

胴体と繋がったままの喉を揺らし、吉継は高虎の名を呼んだ。

「いつまでそうしている気だ、と問うただろう」

そして徐にしゃがみ込み、血の気を失った高虎の頬をするりと撫でた。
しかし高虎にはその感覚も温度も感じられず、思わず少しだけ後ずさる。
僅かに吉継の目に悲しみが浮かんだ。

「….…気にするな、と言っても気にするのだろうな」
「あっ、たり前だ! 勝手に話を進め、勝手に託し、俺に有無を言わせず選択させたのだぞ! お前は勝手すぎる!」
「……そうだな。 その言葉、甘んじて受けよう」
「……っ! お前は……っ!」

言葉を続けようとした唇は吉継の指でそっと触れられただけで動かなくなる。
特に力を入れている訳でもないのに高虎は体を吉継に受け渡すかのように固まってしまっていた。
つうっと唇に沿って指が動く。
何故だか鼓動の速度が上がって行く。

「……長政様がお市様を娶り、その後六角氏と相対した時を覚えているか?」

どこか淫靡的な雰囲気の中、吉継はまるで話の流れを断ち切った話題を持ち出してきた。
突然の事に戸惑いを覚え半ば狼狽えつつ、覚えている、と返す。
そう口にする間も、吉継の指は離れなかった。

「ならば、『運命の矢は一つ』と言った事も覚えているか?」
「ああ。存外無茶をする男だと思ったモノだ」

降り注ぐ矢の雨の中微動だにせずただただ流れに身を任せていた姿は、高虎の記憶に強く残っている。
功を立てる為、彼の腕を引いた事も。
自分の人生を否定するつもりは無いが、思い返せば浅井に仕えていた頃はひょっとして幸せだったのではなかろうか、と思う程度には幸せな記憶だ。
ギリ、と思わず唇を噛む。
止めておけ、と吉継がまた指で撫ぜた。

「お前は怒るだろうが……俺はあの最期を誇らしくすら思う」
「ど、どこがだ! あんな終わりのどこが!」
「『運命の矢は一つだ』と言っただろ」

吉継の指が離れる。
その指先が薄く透けているのが見えて、高虎はハッと目を見開いた。
当の本人は別段気にする風もなく、そっと腰を上げる。

「俺にとっての運命の矢とは、青い色をしていた。 真っ直ぐで、不器用で、前へ前へ突き進む、優しい矢だ」

そう言ってやはり分かりづらく、しかし分かりやすい微笑みを浮かべた吉継の体が輪郭を失うようにぼやけていく。
高虎は縋り付かんばかりに必死に手を伸ばした。

「吉継っ!!」

切羽詰まった自身の声で意識が覚醒する。
寝巻きはすっかり汗に濡れ、呼吸と心拍は荒く生を主張していた。
視線だけで室内を見渡すが、曙の薄闇が静かに在るだけで人影など気配すらない。
外界で鳥が一鳴きする頃には、今迄の邂逅が夢なのだと理解出来ていた。
出来てしまっていた。

「……俺は、そんな運命、欲しくはなかったぞ」

夢の中で伸ばした右手で顔を覆う。
暗闇にあの微笑みを映しながら高虎は喉を震わせる。
彼の首を落とした時ですら涙一つ零さなかった男は、今ようやく泣く事が出来た。
ーー関ヶ原の戦いから既に一年の刻が流れていた。





*****

マイナーでも私はめげない、という訳で吉高です。
序盤のムービーで大谷さんが言っていた「運命の矢はひとつさ」という台詞。
そして実際彼の命を絶ったのは友人の高虎。
ようするに「大谷さんにとっての運命の矢とは高虎なのでは」という事実に行き当たった時は変な声出ましたよね。(笑)
大谷さんは聡明だから、関ヶ原開戦の頃には薄々感じとってたんじゃないかな。
でも高虎からしてみたら、そんな運命なんていらない。
生きていてくれた方がよっぽど良かった。
そんな話です。(ざっくり)

アニメでこの2人はどんな感じになるのか……楽しみです。
同時に、絶対に覆らない運命に頭を抱えるのですが;;

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
リンク
検索フォーム
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。