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【真ゲ】これが二人の距離感でして

ひっさびさの隼竜。
今回は竜馬がちょっとしおらしめ。(当サイト比)
隼人は通常運転でキザ。(当サイト比)












【これが二人の距離感でして】


「隼人、入るぜ」

口では許可を得つつも、その指はタッチパネルを操作してさっさとロックを解除していた。
何度この部屋を訪れているかは分からないが、少ない数でない事は竜馬自身が良く理解している。
そりゃ解除速度も上がるわ、と云う話だ。
まるで自分の家の様にドアを開けて、竜馬は歳が離れてしまった司令官様の名前を再び呼ぶ。

「おい、隼人……」

その語尾は消えいる様に小さくなってしまった。
視界に映るのがデスクに突っ伏している隼人の姿であったからだ。
近づいて覗きこんでみると、穏やかに寝息を立てている。
右手にはアナログに対応してか、ボールペンを握ったままで。
書いていたであろう書類は完全に枕の代用品になってしまっている。

「……寝落ちかよ」

ったく、と舌打ち。
昔から隼人には、自分より与えられた使命を優先するきらいがある。
人間の三大欲求など彼には当てはまらないのでは、と疑いを持った事があるくらいには。
……まぁ、性欲に関しては全くそうでなかった事は身を以て体感している。
だが物を食べなかったり、不眠不休当たり前な生活を送っていたのも真実なので、やっぱりどこかズレているのだろう。
無茶が効かない歳になっても。

「この年寄りが。 死んでもしらねぇぞ」

暗に死なれると困る、という主張は当然隼人には届かない。
閉じられた瞼は開く事なく、ただ小さな寝息が静かに竜馬の鼓膜を揺らした。
上下する背中がどこか寂しく思える。

「……ったく」

竜馬が再び舌を打つ。
そして自身が纏うボロボロの野戦コートを脱ぎ、そっと寂しげな背中を覆うようにかけてやった。
続いて握ったままのボールペンを取ってやろうと手をかける。
意外としっかり握られている手を緩めるのはなかなか骨が折れたが、慎重に確実に作業を進め、どうにか外す事に成功した。
一応目を覚ましていないか覗きこんで確認する。
やはり、閉じられた瞼が開く気配はない。
ふと思う。

(整った顔しやがって)

例え顔に消えない傷があろうとも、元々の良さは相変わらずだ。
そう思うのは惚れた欲目だろうか。
竜馬は自分でも意識しない内に隼人の寝顔との距離を詰める。
そして、そっと額に触れるように唇を落とした。
正確には前髪越しにであったが。

「……何してんだろうな、俺は」

こんな女々しいのは柄じゃない、と離れながら思う。
徐に気恥ずかしさが伝説とまで呼ばれる男を襲った。
先程までの慎重さはどこへやら、ボールペンを乱雑にデスクへ放り投げ、のしのしと大股で隼人の私室を後にする。
去り際の表情は、ほんの少しだけ赤かった。



それからしばらく。
寝落ちしていた隼人の意識がぼんやり浮上した。
手のひらと頬に感じる紙の質感に、すぐさま状況を理解する。

(寝てしまったようだな……)

どことなく他人事の様に内心でひとりごち、体を伸ばすように起き上がる。
と、背後でバサリと落下音が聞こえた。
反射的に振り向いて、隼人は驚く。
そこに落ちていたのはボロボロの野戦コートーーー竜馬がいつも着ている物であったからだ。

「何故こいつが……」

一瞬理解が及ばず、そんな疑問が漏れる。
シンプルに考えるならば、自分が寝ている間に竜馬がこの部屋を訪れてコレをかけていったのだろう。
そんな殊勝な事を竜馬がするかどうか、と言う新たな疑問が浮かぶが、コートがこの場にある以上それが一番有力だ。
使い込まれたそれを拾い上げる。
これがここにあるという事は今竜馬はどうしているのだろうか?
浮かんだ疑問を胸に、隼人はコートを小脇に抱えて早足に部屋を出る。
居場所の心当たりは無いが、人に訊くなりなんなりすればいつかは見つかるであろう。
そんな無計画さで艦内を彷徨う事およそ十数分。
竜馬は見つかった。

「何をしているんだこいつは……」

休憩スペースのソファの上で寝ている所を。
もちろん竜馬の体躯では収まる事はなく、膝から下は完全にはみ出している。
それでも全く問題無い様子で眠る彼は凄い、とズレた感想を思った。
ただ他の職員にしてみれば迷惑極まりない存在だろう。
こんな奴が寝ている空間では気が安まるとは考えられない。
司令官として、昔馴染みとして、竜馬を起こそうと隼人は手を伸ばしたが、触れる寸前で止まってしまった。
この所忙しかったのは、決して自分だけではない。
竜馬は竜馬でパイロットとして動いてくれており、碌に休む時間もなかったであろう事は想像に易い。
竜馬は自分の好きな様に生きているようで、どこか自分を顧みていない節がある。
戦いの中でしか生きられない、なんて事は、ないだろうに。

「俺が言えた義理でもないか」

自嘲しながら呟く。
そして小脇に抱えていたコートを、そっと掛け布団の様にかけた。
先程竜馬が自分にしてくれた(と思われる)ように。
続けて少しボサッとしてしまっている髪を指で梳く風に撫でる。

「いつもすまない、竜馬」

こういうのは面と向かって言うべきなのだろうが、隼人はどうしても今口にしたくなった。
身を屈め、竜馬の寝顔との距離を詰める。
そして、そっと額に触れるように唇を落とした。
自分以外の熱が伝わる。

「……竜馬」

愛おしげに名前を囁いたのを最後に、隼人は踵を返した。
彼が寝ている間に自分の仕事に区切りをつける為である。
次に顔を合わせるなら余裕を持って、だ。
去り際の表情は、どことなく頰が緩んでいるように見えた。



「〜〜っんで恥ずかしい事が平気で出来るくせに、『ありがとう』って言えねぇんだアイツは!」

隼人が去った直後。
コートの襟を握りしめて羞恥心に悶えつつ、惚気にも似た怒りを吐き出す竜馬の姿があった。






*****

唐突に帰ってきた隼竜ブームに乗っかって衝動のままに書いた物。
原点に立ち返ってみようと思っていたのですが、これ戻ってないな。(苦笑)
竜馬があまりしてやったりしてない。
まぁ、こういう竜馬も好きなんですけどねー。
そういう訳で、今回はキザ格好良い(しかし人としてダメな)隼人の方が押し出てるでしょうか。

この二人は散々すれ違って遠回りしてきた分、互いを思いやれるようになってたら良いなぁ。
そして、互いの事をよくよく理解していたら良いなぁ。
なんというか、熟年。(真顔)

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