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【ワートリ】犬も食わないストロベリー

ワートリから出水×米屋。
B級ランク戦の観戦に来た出水と、その先輩がメイン。
米屋くんは回想のみの出演である。













【犬も食わないストロベリー】

B級ランク戦(玉狛第二・鈴鳴第一・那須隊)を見る為、出水は本部を訪れていた。
純粋に興味があるというのも大きいが、自身の隊長である太刀川が解説を務めるというのもある。
「出来るんですか解説?」と訊いたら「安心しろ、迅も居る」と胸を張ってダメ宣言をされたのは記憶に新しい。
まぁ戦闘に関しては突出している人なので、なんだかんだ解説してくれるのだろうが。

「おまえ達は太刀川に甘い。 だからダメなんだあいつは」

心底呆れ果てた様子で目の前の男は言った。
男の名は二宮匡貴。 B級1位の二宮隊隊長にして、No1シューターである。
彼と共にこの試合を観戦する事が出来るというのは運が良いとしか例え様が無い。
違う視点からの意見というのは結構大事だ。

「いや、でもですね、太刀川さんがやる時はやるってのは本当ですよ?」
「つまり、やらない時はやらないんだろ」

図星である。
出水は上手い反論も出来ず、「あはは」と乾いた苦笑いを浮かべるしかなかった。
誤摩化しついでに手元のジュースを啜る。
ちなみにこの代金は二宮が奢ってくれた。 割と優しい面もある人だ。

「そういやおまえ……そんなもの飲む奴だったか?」

訝しげに出水の持つカップを指差してくる。
今出水が飲んでいるのは『イチゴミルクオレ』であり、確かに普段こういう物を飲むタイプではない。

「あー……ちょっと理由がありまして」
「理由?」
「米屋の所為です」


事は1日前の昼休みに遡る。

「えー、オレその日防衛任務なんだよなぁ」

良いなー、と米屋は口を尖らせた。

「オレも白チビの戦いっぷり見たかったわー」
「何言ってんだよ、この前の試合は見たんだろ」
「見た見た。 あっ、そういやおまえは防衛任務だったんだっけ?」
「そうだよ。 しかも東さんの解説だろ? 太刀川さんなんか解説聞きたさに女子中学生の所に突撃したんだぜ」
「それオレも聞いたわ。 超笑った」

それは部外者だからなのであって、出水としてはあまり笑えない出来事である。
あの時の事を思い出すと自然に溜息が漏れた。
とはいえ気持ちが分からない訳でもない。
バトルジャンキー未満ハッピートリガー程度の出水だって、ランク戦を観るとテンションは上がるし、質の良い解説が聞けるとなれば胸も踊る。
だからと言って無理を通そうとは思わない。 そこが生粋のバトルジャンキーとの違いだろうか。

「オレは章平の説明も聞いてたし、すっげー分かりやすかったな」
「おまえ理解出来たの?」
「……なんとなく?」
「なんとなくかよ」

薄々予想していた回答に呆れつつ頭を掻く。
そんな出水の様子を微塵も気にせず、米屋は自動販売機に小銭を投入した。
続けて顎に手を置き、「むぅ」と考える素振りを見せる。

「何考えてんだ槍バカ。 似合わないぞ」
「どれにしようか考えてんだよ」
「どれでも良いだろ、おまえ飲み物全般好きなんだから」
「好きだから色々考えるんじゃね? オレおまえの事いつも考えてるし」

不意打ちで好意をぶつけられた出水は大袈裟に目を見開いてしまった。
「変な顔」とケラケラ笑われる。
若干の気恥ずかしさを乗せ、出水は米屋の脛に蹴りを食らわした。

「さっさと買え!」
「ひっでぇ〜。 分かったから蹴るなよな」

人を小馬鹿にしたような笑いを継続させながら、ようやく米屋は自動販売機のボタンを押した。
ガコン、という音と共に缶が落ちてくる。
普段紙パック飲料を飲んでいるイメージの強い米屋だが、缶だろうがペットボトルだろうが飲む時は飲む。
やっぱり何でも良いのだろう。

「結局何買ったんだ?」
「これ」

取り出し口から引っ掴んだそれを見せてくる。
缶の側面には『ミルクたっぷりカフェオレ』という文字がデザインされていた。

「……甘そうだな」
「でも美味いぜ」

甘いという事は否定せず、米屋はプルタブに指を引っかける。
ここで飲むのかよ、という出水のツッコミも意に介さず引き上げて開封し、口をつけて飲み始めてしまった。
ゴクゴクと音を上げて飲み込む際の喉の動きについつい目が行ってしまう。
米屋に感づかれる前に、出水は慌てて目を逸らした。
早く教室に戻って昼飯を食べたい。 なんて現実逃避。

「あっ、そうだ、なぁ出水」
「……ん? な、なんだよ」
「明日本部行くんならさ、『イチゴミルクオレ』飲んでみてくんね?」
「はぁ?」

おそらく出水の人生史上最も意味の分からない頼みになるだろう一言を、米屋はカフェオレを飲みながら平然と口にしてきた。
自分がおかしな提案をしているという自覚はないらしい。
本当に同じ時間に生きる人間なのだろうか、なんて酷過ぎる疑問が過る。

「結構気に入ってた奴なんだけど、なんか最近リニューアルしたみたいでな。 でもオレまだ飲めてなくてさー、おまえちょっと飲んできて。 で、感想聞かせて」
「それ本部にしか売ってないのか……?」
「オレは本部でしか見た事ねぇな」
「あっそう、じゃあ機会がある時に自分で飲めよ。 そっちの方が絶対良いだろ」
「えー、どうせならおまえの意見も聞きたいじゃん?」
「なんで」
「オレが好きなモンを、オレが好きなおまえが好きになってくれたら、嬉しいじゃんか」

な? と笑う顔は何の企みも裏もなさそうな、純粋な物だった。
少なくとも出水はそう思った。


「……まぁ、こんな所です」
「なるほどな」

事の顛末を話し終えた出水は再度イチゴオレを啜った。
乾いた喉に潤いと甘さが流れ込む。

「で?」
「はい?」
「飲んでみた感想はどうだったんだ」

そう尋ねてくる割に二宮の表情はとても興味が無さそうに見えた。
ただ単に会話の流れとして訊いただけなのだろう。
なので、出水も会話の流れのままに返す。

「甘いっすね……」
「まぁ、だろうな」
「でも米屋好みな味ですよ、あいつ結構甘党なんで。 今回のも気に入るんじゃないですか?」

自分はリニューアル前を知らないのでどこが変わったかなんて分からない。
でも米屋がこの味を好むというのは理解出来る。
苺の香りが鼻を抜けていく中、出水は眼下の会場に視線を映した。
続々と隊員達が集まってきている。
その風景の中に見慣れた隊服を見つけた。
我らが隊長は好敵手からぼんち揚げを差し出され、全く遠慮せずにボリボリと噛み砕いている。
No.1アタッカーの威厳も何もあったものではない。

「はぁー、太刀川さんってばしょーがねーなぁ」

苦笑いを浮かべながらイチゴオレをまた啜る。
その背後で二宮がヒビになるのではないかというぐらい眉間に皺を寄せているのには気が付かなかった。

「仕方が無いのはおまえも同じだ……」

その呟きにも、溜息にも、やはり出水は気が付かない。





*****

作中に出てきた二宮さんは、実はこれを書いた週に初登場した新キャラ中の新キャラでした。
だと言うのにこんな惚気話に巻き込んでしまって、すまない、すまないと(ry。
という訳なのでキャラ性とかそういうのもほぼ捏造です。 すま略。

この時出水が飲み物飲んでたので、飲み物=米屋に即座に変換しました。
出水としてはいい迷惑でしょう。 飲み物くらい普通に飲むだろうに。
しかし、一度決めたら貫き通してやろうと思ったのでこんな感じになりました。
飲んでる中身は完璧な捏造です。
米屋くんが甘党っぽい描写も完全捏造。 イチゴオレ飲んでたら可愛いよねっていう……。
タイトルはこのイチゴオレありきの奴です。
自画自賛ながら結構気に入ってますが。(笑)
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